かなり前の記事で、現在の多摩川台公園内に位置する古墳群を、将軍就任前の徳川家定がそれとは知らずに訪れていたことを動画にして公開しました。その際に典拠とした史料について、その名前はわかっていたものの、それが収録されている史料集の名前を書き留めそこねていることを記しましたが、それから10年以上そのままになってしまっていました。
「デジタルコレクション」のリニューアルで全文検索が可能になったこと、また対象となった資料が大幅に増えたことから、あるいはこの資料も検索できるかも知れないと思い立ち、試しに史料の名称「玉川辺亀ノ甲山江右大将様御成記録」で全文検索してみました。
その結果、該当する資料集が1件ヒットし、「国立国会図書館内/図書館・個人送信限定」資料として登録さえ出来ればインターネット経由でも閲覧できることがわかりました。件の資料は
「大田区史 資料編 北川家文書 1」(大田区史編さん委員会 編 1984年 東京都大田区刊)
でした。当該の史料は312ページから325ページにかけて掲載されており、かなり長大なものになっています。この史料中の「御成御場所麁絵図」は318ページ〜319ページの見開きに掲載されています。複数の小さな古墳が連なる様子が現在の地形とも大筋で合致するものとなっており、その上にどの様に道などを配置したのかがこの絵図によって良く理解できます。
なお、「玉川辺亀ノ甲山江右大将様御成記録」の後続に掲載されている
- 18 御成御用人足幷諸雑用取調帳
- 19 亀ノ甲山江御成諸人馬諸入用記録
何れにせよ、こうした市町村などの資料集も全文検索で探し出せる可能性が拡がった点は、郷土資料の使い勝手を飛躍的に向上させるものになったと言えそうです。勿論、これまで繰り返し書いてきたことですが、現状ではOCRの精度に制約がある以上、検索結果のみに頼った調査は慎むべきではあります。しかしそれでも、「デジタルコレクション」に収められている資料集であれば、居住地の最寄りの図書館では閲覧できない遠隔地の資料もこの様に探し出して閲覧できる可能性が拡がったのは大きいものがあります。