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余談:アーネスト・サトウ「明治日本旅行案内」の「ローマ字」

今回は前回の記事の余談を手短に取り上げます。この中で、こんな一節を書き入れました。

サトウは英勝寺や寿福寺のある亀ヶ谷から長谷までの距離については「22町」と書いています(180ページ)。原文でも「22 chō」とそのままローマ字で記されています。



上記の該当箇所(Googleブックスより)
ここでサトウは日本語の長音を表記するのに「マクロン」という符号を使っています。日本語のローマ字表記のうち、いわゆる「ヘボン式」でこの表記が採用されています。因みに、昭和29年(1954年)内閣告示第一号で定められたローマ字表記では「4 長音は母音字の上に^をつけて表わす。なお、大文字の場合は母音字を並べてもよい。」と、「サーカムフレックス」を使うことになっていますが、実際は鉄道の駅名標などで「マクロン」を使うケースも多い様です。

以前はこれらの符号をネットを通して送信するのは「文字化け」のおそれがあるために難しかったのですが、今はUnicodeがパソコンやスマートフォンに普及した関係で大幅に軽減されました。もっとも以前旧字体や難読漢字の入力の煩雑さについて書いたのと同様、こうした符号類付きのアルファベットについても入力の煩雑さはついて回ります。普段使いする言語のものでなければ、Wikipediaの「ラテン文字一覧」などを見て該当する文字をコピー・ペーストする方法でも良いでしょう。多用するのであればキーボードから直接入力できないと手間が掛かり過ぎることになりますが、MacOSXであれば各国語のキーボード・セットがOSに標準で付属していますので、この切り替えだけで入力が可能になります。「マクロン」の場合は例えば
US-Extended
「US Extended」への切り替え

  1. キーボードを「US Extended」に切り替える。表示されない場合は「システム環境設定」の「入力ソース」で「US Extended」にチェックを入れる
  2. 「option+a」を打つ。カーソルの左にマクロンが強調表示される
  3. マクロンを付ける文字、上記の例なら「o」を打つ
という手順で入力できますし、「サーカムフレックス」なら
  1. キーボードを「US」に切り替える
  2. 「option+i」を打つ。カーソルの左にサーカムフレックスが強調表示される
  3. サーカムフレックスを付ける文字を打つ
という手順で入力が可能です。Windowsでもキーボードを切り替えて入力が可能と思いますが、私の手元にWindows環境がないのでここでは省略します。

ところで、いわゆる「ヘボン式ローマ字」はジェームス・カーティス・ヘボンが著した「和英語林集成」という英和・和英辞典の第3版で採用された表記が元になっています。この第3版が出版されたのは明治19年(1886年)のことですから、サトウの「明治日本旅行案内」はその数年前ということになります。つまり、この「明治日本旅行案内」は後に標準的なローマ字表記の1つとなるヘボン式が世に出る前の、言わばサトウ独自の表記に依っていることになります。

そのため、原書の「明治日本旅行案内」を見て行くと、ローマ字がヘボン式とも幾らか異なっていることがわかります。一番目立つのは「Dai-butsu(大仏)」の様に逐一ハイフンで分かち書きにされている単語が多いことで、「A-Butsu(阿仏)」「Hō-jō(北条)」の表な事例などから漢字単位で分節を表記しようとする傾向が強いことが見て取れます。ただ、その割には「Yokohama」や「Kamakura」の様な地名ではハイフンを用いていなかったり、「稲村ヶ崎」では「Inamura ga saki」とスペースで分かち書きになっているなど、サトウ独自の表記ルールを決めていた様に見えます。また、「Ku-giō(公卿)」「Ō-shiū(奥州)」の様な拗音の表記にも現行のヘボン式等とは異なる表記が見られます。

そうした中で、長音を表記するのにヘボン式同様に「マクロン」を用いていることからは、こうした表記がヘボン式が確立する以前に普及していたことを窺わせます。ヘボン式ローマ字の変遷についてはこちらの明治学院大学のサイトでまとめられていますが、長音については長音符号を付けることが記されているのみで、その変遷については特に記されていません。「和英語林集成」の初版から長音符号が使用されていたとすると幕末の慶応3年(1867年)から既にその利用が始まっていたことになりますが、それ以前から既に長音符号が利用されていたのか、それともこの辞書が切っ掛けになって利用が広まったのかはわかりません。


「明治日本旅行案内」中の「生麦事件」の記述
サトウは当時通訳見習いとして着任早々だった
他方米国領事が駐留していた神奈川・本覚寺に
逃げ込んだイギリス人一行を診察したのがヘボン
(Googleブックスより)
ただ、ヘボンもサトウも生麦事件の時には共に神奈川に滞在中で事件の対応に当たっていたりしますので、恐らくかなり早い時期に知己になったのではないかと思われます。そうした彼らにとって日本語の表記をどの様にするかは共通の課題であったと思われ、あるいは何らかの意見交換を交わしていたのではないか、という気もしてきます。この辺りも後日サトウの日記を紐解く際に気を付けて確認してみたい点の1つです。

現在はこのマクロンを使う長音の表記法はあまり一般化されているとは言えず、と言うよりも日本語の長音の表記法になかなか決定的なものが定着していないのが実情と言うべきでしょう。サトウやヘボンの「マクロン」の利用は、日本語の音節が欧米の言語の表記になかなか馴染みにくいという課題を、どうにかして克服しようという工夫の一端であったと言えるのかも知れません。
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