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宮城野村・仙石原村の足柄下郡への編入時期について

先日、「箱根湯治場道見取絵図」に宮城野村が「足柄下郡」と記されているのを受けて、江戸時代から明治初期にかけて、この村と仙石原村が一貫して足柄上郡の所属であったこと、明治11年から13年の間に足柄下郡へ移った可能性はあるもののそのことを具体的に記した公的書類が見つかっていないことを記しました。今回、この足柄下郡への編入を巡ってもう少し補足してみます。

旧足柄上郡上曽我・曽我大沢の位置
旧足柄上郡上曽我・曽我大沢村の位置
Googleマップのスクリーンショットに加筆)
神奈川県史 資料編11」(1974年)には「近代・現代(1)政治・行政1」という副題が付けられ、明治時代初期の神奈川県成立当初からの行政関連の書類などが収められています。ここに、「郡制実施にともなう足柄上下両郡の郡界変更関係文書」と題された6本の書類がまとめられています(297〜306ページ)。表題だけ見ると宮城野・仙石原の話かとも思ってしまうのですが、これはそうではなく、足柄上郡曽我村と足柄下郡下曽我村の郡界、それから足柄上郡岡本村と足柄下郡富水村の郡界を整理すべく地元と郡、および県の間でやり取りされた書類です。ただ、大半は足柄上郡曽我村から上曽我・曽我大沢地区を足柄下郡へ組み入れたいとする地元と郡の確認作業が占めています。実際にはこの請願は通らず、両地区は昭和31年(1956年)になって小田原市に編入されるまで足柄上郡に所属し続けました。地図を見ると、現在も「小田原市上曽我」の地域の南側には、確かに飛び地が多数存在しているのがわかります。


この一連の書類中、「神奈川県史」では(四)と記された書類に宮城野・仙石原の名前がまず登場します。

郡界変更之儀請願ニ依リ上申

神奈川県足柄下郡下曽我村

神奈川県足柄上郡曽我村ノ内上曽我曽我大沢

今般郡制施行セラル丶ニ付前記ノ村落合合併致度旨請願候ニ付其利害得失詳細取調候処左記ノ通ニ候条依然御据置相成候様致シ度此段具申候也

明治廿三年十一月一日

足柄上郡長 松尾豊材

神奈川県知事 浅田徳則殿

…(5項省略)

一 先年足柄上郡中に在リシ仙石宮城野ノ両村ヲ足柄下郡ヘ組替ラレタル事例ノ引用アリト雖右両村ハ大雄山ノ高峰外ニ懸隔セルヲ以テ道路崎嶇険悪ニシテ徒歩モ容易ニ通シ難ク故ニ官民共ニ足柄下郡小田原ニ迂回スルニ非レハ公私ノ用ヲ達スル能ハサル不便アルヲ以テ不得已組替ラレタル儀ニ有之曽我部落ノ如キハ如斯不便ナキ而己ナラス(以下略、税負担の区分けを論じている)

(上記同書301ページより、…は中略、強調はブログ主)


「事例の引用あり」とは何を指すのか、「県史」の順では時系列に沿っていないためにちょっと分かり難いのですが、この「引用」は次の(五)の方に含まれている「別紙」の記述を指しています。

(朱書)第一二六三号』

足柄上郡曽我村ノ内曽我及曽我大沢ノ二部落ヲ足柄下郡下曽我村ヘ合併ノ義別紙ノ通両村人民惣代ヨリ出願候ニ付テハ其利害得失詳細御取調ノ上御意見上申相成度書類図面共相添此段及御照会候也

明治二十三年十月六日

第一部長 田沼 健(印)

足柄上郡長 松尾 豊材殿

足柄下郡長 中村舜次郎殿

追テ御意見上申之際別紙ハ御返戻相成度申添候也

添付書及御回付候間可然御取斗有之度候也

明治廿三年十月十三日

足柄上郡長 松尾豊材

足柄下郡長 中村舜次郎殿

(別紙)

郡界変更之義ニ付請願書

神奈川県足柄下郡下曽我村

神奈川県足柄上郡曽我村ノ内上曽我曽我大沢

村民一同

第七 分合ノ事例

往古ヨリ引続足柄上郡中ニ仙石宮城野ナル両村之アリシヲ明治十二三年頃右両村ヲ下郡中ニ編入シ去リタリ按スルニ此挙タル該下曽我村ト曽我村ノ内字上曽我トニ於ケル経界ノ如ク錯雑複合セル処アルニ非ス両郡中何レニ之ヲ付スモ錯雑ヲ致スノ患ナキモノナルニ猶且然ルコトアリタルモノニシテ彼ヲ以テ此ニ比スレハ一ハ其理由ヲ一見シテ知ルニ苦シミ一ハ直ニ之ヲ了去シ得ルモノ丶如クヨシ彼ニシテ当時別ニ深由確源ノ存スルアリテ能ク二村ヲ下郡中ニ編入シタルコトヲナスモ此亦古来ノ関係密ニ亙リ分離シテ合他ヲ計ルモノハ合併上互ニ利便ヲ致シ而モ残リタルモノハ一ノ損害ヲ蒙ルコトナク却テ亦多少ノ苦難ヲ免ル丶勢アルモノナリ近ク十年前ノ事例ハ斯ノ如キアリ且ハ古今稽照従便挙利多々益良ニ就クノ 聖治ニ際シ敢テ希望セル段先例ト併セテ理由ノ端末ニ付スル如此御座候也

(上記同書305〜306ページより、…は中略、強調はブログ主)


このやり取りの経緯ですが、地元の村から出された要望書に対し、足柄上郡・足柄下郡の郡長が疑問を持ち、その損得についてもっときちんと説明せよと村民に対して求めてきます。それに対して村民の総代から提出されたのが、(五)の書類ということになります。これを受けて、郡長側の意見を付与して県に送った書類が(四)で、郡長側としてはこの箇所については総代の指摘を否定している訳です。

地元としては足柄下郡への組み入れを希望しているところが却下されそうなので、「10年ほど前には宮城野村と仙石原村(別紙内では地名が正確に表記されていませんが)が郡の所属替えをあっさり認められているではないか」と先例を持ち出して、暗にその取扱の不公平さを責め立てている訳ですね。それに対して郡長側は「いやあそこは険しい山が間にあって不便極まりないという点で官民一致したからこそ認められたのであって、今回の事例と一緒には出来ない」と返しています。曽我村が何処から宮城野村と仙石原村の足柄下郡への編入について知識を得たのかは不明ですが、「仙石宮城野なる両村」という地名の誤記を含んだ表記から見ると、伝聞によるところが大きい様に見えます。当時は地形図などはまだ作成され始めたばかりの頃ですし、付き合いのない村の地理についてまで、村総代には詳しい知識がなかったのかも知れません。

さて、この(五)には「明治十二三年」と、宮城野村と仙石原村が移った時期が記されています。繰り返しになりますが、これは伝聞を記したものと考えられますので、裏付けという点ではやや劣る情報ではありますが、少なくとも先日紹介した仙石原村の牧場設置に関する書類の表記とは整合性があります。ただ、「神奈川県史」でもこの2村の足柄下郡編入に関する資料は見つけられませんでした。何らかの手続に則って編入を認めたのであれば、県側にも相応の書類が残ってもおかしくありませんが、比較的残存率の高そうな書類が残っていないというのはどういう事情なのでしょうか。

そこで、明治11年に施行された「郡区町村編制法」の文言を見てみます。全文はこちらのサイトに掲載されていましたので今回はこちらを一部お借りします。この中から以下の話に関係のある条文を転記します。

第2条 郡町村ノ区域名称ハ総テ旧ニ依ル

(以下,明治13年太政官布告第14号で追加)

第8条 地方ノ便益若クハ人民ノ請願ニ因リ止ムヲ得サル理由アルモノハ郡区町村ノ区域名称ヲ変更スルコトヲ得

第9条 第3条第4条第7条第8条ノ施行ヲ要スルトキハ府知事県令ヨリ内務卿ニ具状シ政府ノ裁可ヲ受クヘシ 但町村区域名称ノ変更ハ内務卿ノ認可ヲ受クヘシ



大きな地図で見る
箱根町仙石原の位置
ここが宮城野と共に足柄上郡に属していた理由については
この地域の開発の歴史と関係があるかも知れない
まず、第2条に従うと全ての郡や村はそれまでの所属をそのまま引き継ぐことになっていた訳ですから、当然宮城野村と仙石原村も施行時点では江戸時代まで同様足柄上郡の所属だったことになります。その点は前回引用した明治11年の記録と合っています。

これに対し、郡の所属を変更する場合の規定である第8条及び第9条は、明治13年に追加されているとのことですから、宮城野村と仙石原村が足柄下郡へ移ったのが「明治十二三年」というのが正確であれば、その頃にはこの条項は存在しなかったことになります。この第9条では内務卿経由で政府の決裁が必要である旨規定されていますが、その取り決めがないうちに、この2村の足柄下郡編入はどこかが認可したことになります。法整備の進んだ現代ではこういうことは起こりえないでしょうが、当時はまだこうした手続が未整備であったことが背景にありそうです。その黎明期故に生じた一事例ということになるのでしょうか。

宮城野村と仙石原村の足柄下郡編入の時期をはっきり示す書類が残っていないのも、あるいはこうした制度上の未整備の中で、取り交わされた書類の存在がわからなくなってしまったためなのかも知れません。そうなると、その具体的な時期の特定は、これまで見てきた様な状況証拠の側からある程度時期を絞り込むことまでしか出来ないということになりそうです。



追記(2015/03/09):Googleマップで空中写真の表示では、町域の表示が出なくなって久しいので、諦めて地図表示のものに切り替えました。
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