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【江島道】「見取絵図」に沿って(その5:泉蔵寺と上諏訪神社)

前回は巌不動尊の入口まで進みました。今回はそこから少し南に進んだ辺りの、泉蔵寺前の様子から始めます。

江島道見取絵図:泉蔵寺付近
江島道見取絵図:泉蔵寺付近


「見取絵図」では「宗泉寺」と記されているのですが、東京美術版の解説ではこれは「泉蔵寺」の誤記であろうとしています。確かに位置関係から見ても他に該当する寺院がありませんので、泉蔵寺と解することで問題ないだろうと思われます。それにしても、以前浦賀道を辿った際にも「稲荷」を「諏訪」と取り違えた例や、清浄寺の位置が違うという例などがありましたし、寺社の記載に関して多少精度を疑わざるを得ない例が散見されるので、以下のお話も「見取絵図」の表現が正しければ、という前置きをせざるを得ないのですが…。

江島道:片瀬小学校前の庚申塔と双体道祖神
片瀬小学校前の庚申塔と道祖神
江島道を泉蔵寺まで進む手前には片瀬小学校の敷地が広がっているのですが、その敷地の一角に庚申塔が2体と、恐らく双体道祖神であろうと思われる石碑が1体、竹垣に囲まれた中に安置されています。これらが何処にあったものかは不明ではあるものの、「見取絵図」上この地点に近い場所に「梵天塚」と共に「庚申」が描かれているなど、現存しなくなった庚申などが幾つか見られますので、あるいはそれらの内の何れかから移動したものかも知れません。

江島道:片瀬小学校前の道印石(左側面)
片瀬小学校前の道印石
向かって左側面:「一世安楽」
(イタズラされて「一」が「二」に変えられてしまっている)
正面「ゑのしま道」
江島道:片瀬小学校前の道印石(右側面)
向かって右側面:「一切衆生」
もう少し先に進んで、片瀬小学校の校門前には道印石の1つが保存されていますが、これも「見取絵図」には見られないもので、何処から移動してきたものかは不明です。

江島道:泉蔵寺山門より中を望む
泉蔵寺

泉蔵寺前の庚申塔群の位置
(2010年のストリートビュー
江島道:泉蔵寺前の庚申塔群全景
泉蔵寺前の庚申塔群全景
泉蔵寺の門前、道に面した所には、6体の庚申塔と1体の馬頭観音が祀られています。「見取絵図」でも泉蔵寺の山道の隣に「庚申」と記されているのですが、その鳥居の下には小さな建物が描かれているのがわかります。この表記の通りなら、これらの庚申塔群は今の片瀬小学校の校門の辺りに、祠に収められてあったということになりそうです。

江島道見取絵図:片瀬村高札付近拡大
江島道見取絵図:片瀬村高札付近
「見取絵図」上の藤沢宿から江の島の間で「庚申」と記された箇所は全部で11ありますが、そのうち祠や堂に相当すると思われる建物が描かれているものは、藤沢の庚申堂とこの泉蔵寺前、そして本蓮寺向かいの片瀬村の高札付近の3箇所です。しかし、最後の高札付近の庚申は江島道から幾らか奥まった箇所に描かれていて、この位置であればハーン一行が目にする可能性は低いと思われます(この庚申が面していたと思われる「野道」は現在の区画に合致せず、庚申共々現在確認することは不可能です)。残りは石碑が1体ずつ描かれているものが殆どで、1例のみ茂みの前に鳥居だけが記されているものがあります。

(その2)」で紹介したラフカディオ・ハーンの「江の島行脚」の一節ですが、ハーンが路傍の庚申堂群に興味を惹かれた時のくだりはこの様に表現されています。ここで使われている「本街道」という訳は、藤沢の庚申堂の位置を表現する際にも使われていた単語ですから、「江島道」を指すと解して良いと思います。

やがて、われわれは谷戸(やと)を越えて、本街道に出る。街道からのぼる神社の石段の前に立っている鳥居、漢字の看板、名も知れない路傍の祠など、そうしたエキゾチックな風物が、おりおり、こちらの幻想を破りさえしなければ、この本街道は、まるでイギリスの田舎道――ケント州か、もしくはサリー州あたりの田舎道かと思うくらい、大きな老樹がこんもりと影を落している、坦々たる道であった。

わたくしはふと道のはたに、今まで見なれない、浮き彫りの彫像を見つけた。平石を刻んだ像が、雨風をしのぐ小さな竹の小屋のなかに、ずらりと並んでいる。墓碑かなと思って、俥を下りてよく見ると、だいぶもう年古りたものとみえて、彫りのすじなどはなかば擦れくずれ、足のあたりは苔に蔽われ、顔は、どれもこれも、なかば欠け損じている。墓ではないな、六体の何か神仏の像だなどは、すぐにわかったが、アキラは知っていて、これは庚申(こうしん)といって、道路の神さまだという。欠けほうだいに欠け損じているし、それに(こけ)だらけになっているので、上半身は何が何やら見分けがつかず、特徴らしいものはとうに磨滅してしまっているが、その足もとのところにまた幾つかの平石があり、これにも何かじょうずに刻んである。よく見ると、それがこの庚申の神の、お使い姫の三匹のサルの像だということがわかった。

(「全訳 小泉八雲作品集 第五巻」平井呈一訳 1964年 恒文社 143ページより、強調はブログ主)


冒頭に書いた通り、「見取絵図」の寺社にまつわる記述に多少問題があるケースがある以上、少なくともこの史料だけに依存して結論を出すのは非常に危険です。出来れば傍証になる別の史料があれば良いのですが、前回も書いた通りこの区間を描写した紀行文や道中記が殆どないのが実情で、「藤沢市史料集 31」にも泉龍寺付近を記したものは見当たりませんでした。従って断定することは出来ませんが、ハーンが最初に庚申に気付いたのは、現時点ではこの泉龍寺前の庚申塔群であった可能性が一番高そうだ、ということだけ指摘するに留めます。なお、ここに現在並んでいる庚申塔の数はハーンの記述とも合致していますが、6体とも明治23年時点で同地に並んでいたものか、更に馬頭観音がその当時にここにあったかどうかは未確認です。

何れにせよ、他にも多数庚申塔が立っている場所があったにも拘らず、人力車に乗っていたハーンが最初にここで庚申塔に気付いたのは、恐らくそれが「小さな竹の小屋のなかに、ずらりと並んで」いたために目立ったからではないかと思います。車上の高い目の目線では、単体の庚申の存在は意識しないと見落とす可能性の方が高かったでしょう。


なお、泉蔵寺の向かいには別の「庚申」や「稲荷」が見えていますが、これらは現在確認出来ません。移動されているかどうかも不明です。また、泉龍寺の前辺りに「石橋」が1つ描かれていますが、この橋も、更にここに繋がっていたであろう沢も現在地上にはありません。

江島道見取絵図:諏訪社付近
江島道見取絵図:諏訪社付近


江島道:諏訪神社山車小屋脇の庚申塔
山車倉庫脇の庚申塔
道が山沿いにS字にカーブした先に、諏訪神社の山車小屋が建っています。その傍らに隠れる様にして、庚申塔が1体安置されています。

「見取絵図」と比較すると、諏訪神社を挟んで両側に「庚申」の表記が見られ、恐らくはこのどちらかが移設されたものではないかと思われます。

江島道:上諏訪神社
上諏訪神社を見上げる
江島道:上諏訪神社本殿前より遠方を眺める
境内からの眺め

上諏訪神社の位置。
西方に(下)諏訪神社も見える
その山車小屋のすぐ先に、上諏訪神社の鳥居が立っており、石段を上がった所に拝殿が鎮座しています。標高差は10m程ですが、拝殿の前からは江の島や烏帽子岩を一望に出来ます。但し、片瀬村の村社ということもあり、またあと少し急げば到着できる江の島に渡る前に敢えてここで眺望を楽しもうという参拝客は流石にいなかった様で、「藤沢市史料集 31」にもこの神社について記載した紀行文・道中記はありませんでした。

「新編相模国風土記稿」や「皇国地誌」ではこの神社の由緒について記されていませんが、境内の昭和60年(1985年)の「諏訪神社上社御由緒」には

養老元年(七二三)信濃国諏訪大社の御分霊を勧請、上社に建御名方富命(たけみなかたとみのみこと)、下社に八坂刀売命(やさかとめのみこと)を奉斎、弘仁三年(八一二)諏訪ヶ谷の地より浪合の現地に御遷座、

(ルビはブログ主)

と刻まれています。「見取絵図」では江島道の下に上諏訪社が、上部のやや離れた場所に下諏訪社が描かれています。

今回もあまり進めませんでした(汗)。次回はもう少し先へ…行けるでしょうか?



追記(2014/07/08):Googleストリートビューの更新に伴い、泉蔵寺前の庚申塔群の表示がズレてしまったため、調整し直しました。ストリートビュー更新前に比べると今回は丁度良い場所で撮影されなかった様で、やや分かり難くなってしまいましたが…。
(2015/07/07):道印石のキャプションが入れ違っていましたので訂正しました。失礼致しました。併せて道印石に施されたイタズラについても追記しました。更にストリートビューを2010年のもので固定しました。


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